出会いは突然、電車にて。
快斗の顔をもう一度みると赤面していて、こっちまで赤くなるのが分かる。


「ほ、ほら、早く行くぞ。」


「うん!」


快斗の肩からぶら下がっているだけの手を取って快斗の歩幅に出来るだけ合わせられるように早めに歩く。

きっと快斗も私の歩幅に合わせてくれているんだろうな。
男の人にしたらゆっくりめだから。



ブォォン

あれから、10分くらい歩いてバスに乗った。

バスを降りるとすぐそこにカフェがあった。


カランカラン

「いらっしゃいま、って快斗かよ。
彼女さん連れてたから別人に見えたわ。」


「あはっ、来たいって言って。」


「こんにちは。すみません、突然お邪魔して。」


「いいよいいよ、お客様なんだし。いつでも来てね。
なんなら、快斗がいない時でも。」


「おい、てんちょ」


「その事でお話があるんですけど、」

快斗がなにか言おうとしたのは気にしない。睨まれてる気もするけど...。

本当は今喋るか迷ったけど後から快斗に説明するのはめんどうだから今喋ろう。


「あの、そろそろ自分のお小遣い稼ぎにバイトがしたいと思ってて。でも、私、男の人は苦手でバイトに入れたとしてもそこに男の人はいるわけだから無理だって諦めてたんですけど。
ここなら、自分の男慣れももしかしたら接客していくうちになおせるかもしれないし、何故か分からないけど店長さんは私、怖くないんです。
だから、今度、出直してくるので面接して頂けませんか?」
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