出会いは突然、電車にて。
【杏奈 side】

「だから今、バイトしてるんだ。
全部黙ってるつもりじゃなかったんだけど今まで言えてなくてごめん。」


快斗が発するすべての言葉に驚いた。


今の快斗は今すぐ目の前でブロックのように崩れてしまいそうなほどとても弱々しく見えた。


そんな快斗に私はせっかく話してくれたのに何も言うことが出来なかった。


「ごめんな。俺が勝手にデートに誘ったくせにこんな話して...。」


地面を向いて話をしてくれていた快斗が目線をこっちに合わせ、驚いた顔をしたのがわかった。

語尾の声が小さくなっていたから。


何故だろう、そんな変な顔してたのかな。


すると急に快斗に抱きしめられた。


「ふぇっ?!」


へ、変な声がー!!

でもだってここ、道中だよ!すんごい人に見られてるよー!



「ごめん、ほんとにごめん。
お願いだから泣かないで。」

< 93 / 159 >

この作品をシェア

pagetop