クールな外科医のイジワルな溺愛
「食パンじゃない……」
食パンのサンドイッチも好きだけど。目の前のサンドイッチに使われているのは、クロワッサン。中身はほうれん草と卵、サーモンとクリームチーズ、エビとアスパラ、チキンとアボカド……かな?
「これ、まさか先生が?」
「なわけないだろ。下のパン屋で買ってきたんだよ。コーヒーは淹れてやるけどな」
そう言えば、一階に美味しそうなパン屋さんが入ってたっけ。いいなあ、こんな美味しそうなパンがいつでもすぐ買えるなんて。
「全部食べていいぞ。俺はもう済ませたから」
「ええっ。嬉しい! じゃあ、じゃあ、二つ今食べて、もう二つはランチに持っていっていいですか?」
「好きにしたら」
「わーい!」
いつものかけそばに比べたらなんてオシャレで可愛いランチなんだ! なんとなく全体茶色で寂し気な食生活を送っていた私にとって、これは御馳走だ。
「ほら、いい加減座れよ。小学生か。早く食べないと、遅刻するぞ」
テーブルに湯気の立ったコーヒーが置かれる。いそいそと座り、サンドイッチを頬張った。
「そう言えば先生、ここから地下鉄の駅って歩いていったらすぐにわかります? 昨日地図を見て調べたんですけど、ちょっと不安で」