クールな外科医のイジワルな溺愛

前髪や横髪を長めに残した茶色いパーマをかけた髪の毛。黒く日焼けした肌の濃い顔立ちの彼には見覚えがあった。

「久しぶりに会った元カレにその挨拶はないだろ」

座った私を見下ろし、ポケットに手を突っ込んだまま笑うそいつは、たしかに私の元カレ。

同期の歓迎会で良い感じになり付き合うことになったが、お父さんの闘病で大変な状況になったくらいからだんだんと距離が開き、同じタイミングで営業部だった彼は海外支社に赴任することに。そんな理由であっさりお別れした。

名前は二階堂司。こんなアラブの石油王みたいな濃い顔の男と付き合っていたなんて黒歴史もいいとこだわ。当時はかっこいいって騒がれていたけど、夕方すぎるといつも顔じゅうテカってるの、知ってるんだから。


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