クールな外科医のイジワルな溺愛
午後も一心不乱に仕事に取り組むも、なかなかデスクの上は片付かず、カオスのまま。
入院中に溜まっていた仕事をひとつ片付ける端から新しい仕事を言い付けられるんだもん。これじゃ片付くはずないじゃない。
結局八時まで残業をしたけど、溜まっている分もすべては終わらなかった。
「はあ、疲れた」
ベッドで寝てばっかりいた腰が久しぶりの座り仕事で悲鳴を上げていた。転ばないように注意して松葉杖をつきながらゆっくり出口に向かって歩いていると。
「おい。今帰りか? 遅いな」
「司。そっちこそ」
ぽんと肩を叩かれ、ビックリして振り向く。そこには、昔ほどテカっていない司が。若さでにじみ出る皮脂が少なくなってきたのか、イタリアでいい化粧品にであったのか。
「何かミスでもしたのか?」
「違うよ。入院中の仕事が溜まっててさ」
久しぶりなのに、ちっともドキドキしないや。むしろ微妙に緊張した雰囲気。それが嫌で、誤魔化すように要らないことを話してしまう。
「他の奴ら、フォローしてくれなかったの?」
「してくれたけど、月末だからね。そもそもギリギリの人数で回してんだもん、他人の分まで全部処理するなんて無理だよね」
「そりゃそうだ」