クールな外科医のイジワルな溺愛
「俺のこと意識してるって、認める?」
耳元で囁かれる。甘い吐息に胸が震える。
「ななな、何を……」
「認めたら放してあげよう」
本当に?
「じゃ、じゃあ認めます。意識してます、ごめんなさいっ」
お願いだから解放して。私を部屋に帰してください。
恥ずかしすぎて両手で顔を隠し、背を丸める。すると、私の両手を黎さんにつかまれた。かと思うと無理やり微妙なバンザイの格好にさせられる。顔が正面を向いてしまう。
「力抜けって。別に取って食おうなんてしてないだろ」
「黎さんこそ力抜いてくださいよ。何がしたいんですか」
ぱっと手を離され、反動で後ろに倒れそうになる。すると背中に伸ばされた黎さんの手が支えてくれた。
「花穂と付き合いたい」
「は?」
まるで舞踏会の途中の王子とお姫様の格好で停まっている私たち。そんな状態で黎さん、なんて言った?
「何がしたいかと花穂が問うから、付き合いたいと答えたまで」
きっとキョトンとしているであろう私に、黎さんが微笑んで補足する。
「付き合うって……」
「いいだろ。今日から花穂は俺の彼女ってことで」
なにそれ。どうしていきなりそんな話になるの。わけがわからない。