クールな外科医のイジワルな溺愛
「花穂、ごめん」
声がした方を見ると、申し訳なさそうな黎さんが。
「あら、お兄さん」
「……うわ、麗香。お前相変わらず派手だな」
お兄さん? 麗香? 麗香って、黎さんのマンションに転がり込んだ初日に電話をかけてきた、あのレイカ?
状況が飲み込めず、交互に二人の国宝級の顔面を見つめる。あ、似てる。見比べるとめっちゃ似てる! 気づけば名前も似てる!
「きょ、兄弟なの?」
我慢できずに口を挟むと、黎さんは小さくうなずいた。
「妹だよ。お前、卑怯だぞ。俺がこのパーティーに参加すれば、今後一年は放っておいてくれるって話じゃなかったのか。それに、お前は来ないと言った」
責めるような目で麗香さんをにらむ黎さん。
「電話はしないって言ったのよ。直接接触しないとは言ってない。それに、本気で私は来る気はなかったんだけど、お父さんがどうしても代わりに行ってくれって言うから」
にっと笑う麗香さん。その顔は、魅力的な悪女と呼ぶにぴったりだった。
「……お前を信じた俺がバカだったよ。行くぞ花穂」
麗香さんから私を隠すように引き寄せる黎さん。
「まあまあ、そんなに逃げなくてもいいじゃない。その可愛らしいお嬢さんはどなた? もしかして、彼女?」
いたずらっぽく聞いてくる麗香さん。
「そうだよ。悪いか」
「ううん。可愛いって言ってるじゃない。ねえ、どこで知り合ったの?」