クールな外科医のイジワルな溺愛
次の日。
仕事を終え、マンションに帰る。少し残業をしたので、辺りはすっかり暗くなっている。途中のタクシーで携帯を見ると、黎さんからメッセージが入っていた。
『一日目終了。俺がいなくてもちゃんと食べるんだよ』
メッセージにはホテルの写真や他のドクターと撮った写真が添付されていた。その表情はいつもの黎さんのもので、ホッとする。
しかし、ちゃんと食べろと言われても自分のためだけにちゃんとしたものを作る気は、やっぱり起こらない。根っからの怠け者だな、私。
結局夕飯は冷蔵庫の残り物で適当に済ませようと決め、どこにも寄らずにマンションに帰った。私には不似合いな広すぎるエントランスに、ゴージャスな影が。
つややかで豊かな黒髪、細長い手足、プリンとしたおしりと胸……思わず舐め回すように見てしまったそのお姉さんは、何の予告もなくくるりとこちらを向いた。
「あっ!」
その顔を見て驚く。私がおじさんみたいに凝視してしまったそのお姉さんは、黎さんと似た端正な顔立ちをしている。しかもしっかりメイクしているから、迫力が半端ない。
「ああ、お帰りなさい。待ってたのよ」
ホッとしたような顔の麗香さんにそう言われて、きょろきょろと周りを見回してしまう。だけどエントランスには私しかいない。
「わ、私を……?」
私を待っていた? そんなわけないよね。