クールな外科医のイジワルな溺愛

「こら、こんなところで寝るな」

黎さんの声がして、ハッと目が開いた。

「うわあ!」

腕まくりをした両手が、後ろから私の胸を触っている。

「ちょちょちょ、ちょっと」

「俺が何のために洗い物を高速で終わらせたと思ってるんだ」

ぱっと手が離されて安心する暇もなく、今度は黎さんが目の前に現れた。その顔はいじけた子供のように私をじっと睨んでいる。

「何のって……」

「俺がどれだけ我慢していたか、わかってる?」

黎さんは背を屈め、座ったままの私に覆いかぶさるようにしてキスを落とす。これまで触れるだけだったそれは、突然深く重なった。

驚きと吹き込まれてくる熱情で、胸が躍り狂う。黎さんは好きなだけ私の口内を弄ぶと、口を離して私の唇を親指でぬぐう。

「最初は怪我が完治するまで、次はお母さんの容態が安定するまで」

口元にあった黎さんの右手が、私の首筋をなでた。

「俺は聖人君子じゃないんだよ。好きな人と一緒にいればそれなりのことをしたいに決まってる」

「あの……」

「今日こそはもう我慢しない。というか、できない。覚悟してもらおう」

あっという間に抱き上げられる。キスのせいで力が抜けていて、抵抗することもせずに私は黎さんの寝室に連れていかれた。


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