クールな外科医のイジワルな溺愛


「また必要なものがあったら遠慮なく言いなよ。じゃあ、また来るから」

「本当にありがとございます。助かります」

ぺこりと頭を下げた瞬間、コンコンとノックの音が。看護師さんかとおもったら、部屋に入ってきたのはなんと。

「こんにちは芹沢さん」

「うわっ」

驚いてのけぞったのは、ナミ先輩。現れたのは、当直明けのはずの黒崎先生だった。疲れているはずなのに、表情に出ておらず、不精髭も生えていない。少女漫画のヒーローですか、あなたは。

「おや? こちらは」

「会社の先輩です。書類とか、入院準備とか色々……」

私の言葉を遮るように、ナミ先輩が先生の前に出た。

「私こういうものです。芹沢さんをよろしくお願いします」

突然よそ行きの顔になったナミ先輩は、肩にかけていたブランドバッグから名刺入れを取り出し、黒崎先生に名刺を差し出す。その動きはとても女性らしく、優雅だった。

「いつでも、連絡をください」

その言葉をやけに協調する。先輩……後輩の前で堂々と逆ナンするのやめてもらえませんか。恥ずかしい。


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