クールな外科医のイジワルな溺愛
「ああ、今日はこれで帰るから。その前に寄ったんだ。縫った傷の具合がどうかと思って」
そう言い、黒崎先生は突然私の下半身にかけてあった布団をよける。そして、看護師さんが着替えさせてくれた渋い浴衣のような寝間着の裾をつかんだ。
「えっ」
慌てて阻止しようとするけど、先生は何の躊躇もせず、びらっとそれをめくってしまった。
「きゃあっ」
昨日手術して、まだ動けない体だ。トイレにも行けないから、尿道に管を入れられている。下着とか以前にそういうの、普通見られたくないってわかるはずなのに。ひどい。
恥ずかしさで全身が熱くなる。怒りで震える手で布団を手繰り寄せ、必死でお腹から下を隠した。けれど、黒崎先生はそんなこと全然意に介していないみたい。
右ひざの包帯を外し、縫った傷跡だけに視線を集中させている。それは、私も初めて見るものだった。何針も縫われた跡が無残に残っている。これ、どれくらい残るのかな……。
いくら補色コーデで歩ける神経をしていても、体に傷が残るのはやはり辛い。既に恥ずかしさは忘れ、不安が胸の大半を占めていた。先生はそんな私の顔をちらりと見て、すぐ足へと視線を移した。
「今この黒く見えてるのは糸。抜糸したら全然違う。傷がケロイド状になりやすい体質?」
「では、ないですけど」
「それなら大丈夫。目立たないようになる」