クールな外科医のイジワルな溺愛


自信満々でそう言いきる黒崎先生。お父さんの時と同じだ。この人の言葉には不思議と安心させられてしまう。

「綺麗に治してやる。心配するな」

そういい、私の膝をいたわるように撫でる黒崎先生。その優しい手つきに、不本意ながらもどきりとしてしまう。こんなふうに、足を男の人に触られるなんてこと、なかったから。

「じゃあ、あとは看護師と交代するから」

そう言ってさっさと部屋をあとにしようとする先生。

「あの」

無意識に手を伸ばしていた。気が付けば、自分の指先が先生の白衣の裾をつかんでいた。

「なに?」

「えっと……どうして主治医になったんですか。先生、本当は忙しいはずでしょう?」

お父さんがお世話になっていたときも、先生は決められた曜日は外来診察、それ以外は病棟を回り、オペ室で何件もオペをして、たまに救急の深夜勤務までこなしていたはず。たまたま手術しただけの整形外科の患者まで担当している余裕なんてないはずなのに。

「偶然、専門外の俺が執刀することになった。これも何かの縁かと思ってね」

先生は少しだけ目を細め、口角を上げた。

何かの縁……お父さんのことも含めて、だよね。でも、本当にそれだけ? なんて、何か特別な理由を欲しがっているみたい。


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