クールな外科医のイジワルな溺愛
深夜の病棟で
その日の午後のレントゲンで、膝の骨がしっかり固定されていることが確認できて、やっと動くことが許可された。
「自分でトイレに行ける……! なんて素敵なことでしょう!」
導尿の管を抜いてもらい、トイレも解禁となる。すると食事も出されるようになり、夕食を食べた時にはやっと生き返った心地がした。
専門外なのに、ちゃんと固定してくれてありがとう黒崎先生。そりゃあ癌に比べれば簡単な手術だったのかもしれないけど、先生がちゃんとしてくれたおかげで長引かなさそう。良かった。
「さあ、退院させてください」
次の日、回診に来た黒崎先生にそう言うと、先生は渋い顔をした。
「短くても二週間と言っただろ」
「でも……」
あまり休むと、職場での風当たりが強くなりそうだし。アパートの冷蔵庫にはもうほとんど何も入ってなかったけど、もやしが死んでるだろうし。
何より入院って、暇で仕方ない。三食出してもらえて寝るだけ、ゆっくり休めていいかもなんて思っていたけど、すぐに飽きた。
「スポーツで膝が割れた場合はすぐ退院することもあるけど、お前の場合は事故だ。帰る途中で頭痛がしたり嘔吐したりしたら……」
傷の具合を見なふがら、先生が脅す。