クールな外科医のイジワルな溺愛
先輩は綺麗なショートヘアをいつも維持していて、メイクも完璧。洋服の着こなしもトレンドを常に意識している。お店で見た時は『漫画のキャラクターみたい』と鼻で笑ってしまったやたら太いベルトを格好良く締めている。鼻で笑われるのはダサい私の方ってことか。
それもそのはず、ここはとあるアパレルメーカー。周りはオシャレな人間ばかり。私はデザイナーでもパタンナーでもない、ただの経理。だからオシャレでなくていいとは言わないけど、少し気が抜けている感はある。
ナミ先輩も同じ経理部署だけど、もともとモデル志望だったとか。だけど身長が足りず、夢破れて今の仕事に就いている。
「ねえ、なんでゆったりしたニットの下にだぼんとしたスカート履いてるわけ」
ズバズバ言われ、自分の格好を顧みる。今朝は慌てていたから、いつもよりさらに適当だった。タンスの一番上にあったものを組み合わせただけ。
先輩の言う通り、上はピンクのゆったりした太ももまであるニットに、下は緑のだぼんとしたスカート。うわ、補色じゃん、これ。今気づいたわ。周りの人から見たら目がチカチカする組み合わせ。しかも補色同士の強い反発を緩和させるベルトも何もない。アクセサリーも時計もしてない。