クールな外科医のイジワルな溺愛


「あはは~、今朝寝坊しちゃって」

「だからって変な服にすっぴん、髪はボサボサって。あんた、本当に女?」

ズバズバっていうか、ズケズケだな、これ。笑ってごまかそうとすると、ナミ先輩はバッグから大きな折り畳みミラーを取り出し、私の目の前で開く。

あらら……誰なのこのおブスちゃんは。まとめた髪は無造作すぎておばちゃんみたいな一本縛りに。毛先が石川五右衛門みたいに四方八方、あらゆる方向を向いている。

眉は伸びてきているし、まつ毛はヒサシみたいに。日焼け止めだけは欠かさないせいか、シミができていないことがせめてもの救いね。

「今度の土日、ネイル行こう」

「ええ……いいですよ」

キラキラした爪は見ていて綺麗だと思うけど、何千円、何万円もかけてひと月かふた月くらいしかもたないんでしょ。芸能人でもないのにもったいない。

「あのね、女の人生一度きりよ。どんどん経年劣化していくんだから。今から綺麗にしておく習慣つけないと、中年になってからひどいことになるわよ」

ぱたんとミラーを畳む先輩。そりゃあ、綺麗にしておくに越したことはない。でも綺麗にしておくのって、お金と時間がかかるんだよね……。


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