クールな外科医のイジワルな溺愛
私の上に乗っていたのは、同じ病棟の太った金髪男だった。休憩室で出会い、リハビリ室でも話しかけてきた、あいつだ。ぞくりと全身が粟立つ。
「声を出すな」
低くかすれた声と同時に吐かれる生臭くてぬるい息。どうしてこいつがこんなところに。
「みんなで俺を馬鹿にしやがって」
焦点が合っていないような目。いったいこのひとは誰を見てるの? 不気味なその目から視線を逸らせると、太い手が布団をはいで私のパジャマに手をかける。ちょっと、やめてよ。気持ち悪い!
震える手で男を押し返そうとするも、体格の差がありすぎて全く歯が立たない。その間、廊下でバタバタと誰かが走る音がした。看護師さんだ。
「くそっ」
私の口をふさいだまま、片手でパジャマのボタンをうまく外すことができなかったのか、ぐっと襟に手をかけられる。そして、思い切り引っ張られた。行儀よくはめられていたボタンの糸がぶちぶちと音を立ててどこかに飛んでいった。
「医者にだけ良い顔しやがって。お前みたいなクソ女にはわからせてやる。俺だってできるんだ、俺だって……」
ぶつぶつと意味のわからないことを言いながら、下着をたくしあげようとする。どうにか逃げようとするけど、右足が自由にならないせいか、いくら両手で押し返しても相手はびくともしない。