クールな外科医のイジワルな溺愛
男はぶつぶつと意味のわからないことを言いながら、下着をたくしあげようとする。どうにか逃げようとするけど、右足が自由にならないせいか、いくら両手で押し返しても相手はびくともしない。
押し返す手が鬱陶しかったのか、左手をベッドに押し付けられた。そのとき、指先に何かが触れる。
ナースコールだ。いつも枕元に置いてあったのに、混乱していたせいでその存在を忘れていた。
必死でそれをつかみ、ボタンを押す。ピピピピと音がすると、相手にすぐ気づかれた。
「バカにしやがってえ!」
ナースコールを床に叩き付けた後、大きく振り上げた手が私に向かって打ち下ろされようとした。そのとき。
「失礼します!」
女の人の声がして、ドアが勢いよく開いた。
「ここにいた! 早くきて!」
懐中電灯で部屋の中を照らされる。看護師さんだ。長い髪を後ろでひとまとめにした彼女は、廊下に向かって叫ぶ。するとすぐにバタバタと別の看護師さんが走ってきた。
「何してるんですか、川崎さん!」
見回り中に男がいないことに気づいて探していたんだろう。そんな看護師さんたちが私を助けようと、二人がかりで男を引き剥がしてくれる。けれど。
「ぶわああああっ」
まるで獣のような叫び声を上げ、私に乗っかったまま腕を振り回す金髪男。その勢いで、看護師さんが吹っ飛ばされてしまった。