クールな外科医のイジワルな溺愛

「きゃあっ。もう、もう、どうしよう」

あわあわと入口のところで見ているだけの若い看護師さんに、最初に入ってきてくれたベテランさんと思われる人が叫ぶ。

「警備室にコールして! あと、緊急ドクターコール!」

「は、はい!」

二人の看護師さんは立ち上がり、金髪男を羽交い絞めにしながらなんとか落ち着かせようとする。私は、体ががたがたと震えて何もできない。口は解放されたのに、何も言えなくなっていた。

「警備員さん、早くきて! あと、ドクターコールお願いします!」

入口で若い看護師さんが叫ぶと、すぐに廊下のスピーカーからピンポンピンポンと大きな音が聞こえてきた。

『緊急ドクターコール、緊急ドクターコール。ドクターは東9病棟へお願いします』

少し緊張したような初老の男性の声が呼びかける。早く、誰でもいいから早く助けて。

もう怖くて目が開けられなかった。ぎゅっとまぶたを閉じたまま、男の唸り声や叫び声が過ぎ去るのを待っていた。すると。

「あっ、先生! ここです! 早く!」

入口で見張っていた若い看護師さんの声がした。先生? 当直のドクターが来てくれた?


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