クールな外科医のイジワルな溺愛
結局、どうして私を襲ったのか、明らかな理由はわからないまま。ただ単に知り合った若い女がいたから部屋に入ったんだろう。
「身寄りがない年寄りなら市の職員が諸々の処理をしてくれるんだけどな。ああいう中途半端な若いのが一番困るよ」
どうやら金髪男は会社の人にも良く思われてはいないらしく、洗濯物を溜めて異臭を放ったり、入院に必要な物品……例えばスリッパやタオル、洗面用具さえもそろえられずに毎回病院のものを借りていたみたい。
そのわりに売店で自分の好きな食べ物や雑誌、漫画などは自由に買っている姿が度々目撃され、ここの病棟の看護師さんの“厄介な患者ナンバーワン”として君臨していた。
「看護師へのセクハラもひどかったらしく、抱き起そうとした看護師の胸を触ったり、車いすからベッドにうつしてもらうときに抱きついたりしていたんだと。看護師も患者に強く文句は言わないと思って、嫌らしい発言をしたりしてな」
「気持ち悪い。地獄に落ちればいいのに」
「落としてやっても良かったけどな。警察を呼ぶとお前が事情聴取でストレスを受けることになる。それでもいいなら、今からでも通報しようか」
それはいいや。警察って何もしてくれないわりには根ほり葉ほり根ほり葉ほり、どーでもいいこと何回も聞いてくるんだもん。