クールな外科医のイジワルな溺愛
「それにさ、うちら専門職じゃないでしょ。ただの経理。定年まで勤められると思う? だんだん居づらくなるに決まってるじゃない。彼氏作って結婚して、いつでも仕事辞められるようにしておかないと後悔するわよ」
ナミ先輩は自分の愚痴も半分入っているのか、怒ったような顔でお昼をつつきながら私に説教する。
「居づらくなっても、食らいついて定年まで勤めますよ。結婚なんてしなくても良いです」
「またそんなこと言って。本当は寂しいくせに」
先輩は綺麗だから彼氏はいる。でもなかなかプロポーズしてくれないと、この前の飲み会で嘆いていた。自分が寂しいのか知らないけど、そこに私を巻き込まないでほしい。先輩は先輩、私は私だもの。
「人生いつ何があるかわかりませんから。身軽な方が良いです」
ずるずると残りのそばをすすると、ナミ先輩が気の毒そうな顔をして言った。
「花穂も苦労したから、そう思うのも無理ないけど。やっぱり一人の人生は寂しいと思うよ。それに人生いつ何があるかわからないからこそ、今を楽しまなきゃ。せっかく女に産まれたんだし」