クールな外科医のイジワルな溺愛
「かもな」
それだけ返すと、先生はくるりと背を向けて入口の手すりに手をかける。
「じゃあ、また明日。しっかり寝ろよ」
少しの隙間をすり抜けるように、静かに姿を消してしまう。
「また明日……」
あと何度、同じ挨拶を交わせるだろう。ナミ先輩が置いていってくれた卓上カレンダーを見ると、思わずため息が出た。
あれだけ待ち遠しかった退院の日が、もう目前に迫っている。それは嬉しいような寂しいような、複雑な気分だった。