クールな外科医のイジワルな溺愛
急に恥ずかしくなって手のひらが汗ばむ。松葉杖をついたひどい格好で、しかもすっぴんでこんなところにいるの、私だけじゃない? しかも、こんな国宝級イケメンに手を繋がれている。傍から見たらNASAに捕獲された宇宙人くらい滑稽じゃないかな。
「服なんてもらえません」
いくら相手がお医者さんでお金持ちでも、彼氏でもない人に服を買ってもらうなんて。どのブランドも選ばずに立ち尽くす私を見て、先生は小さくため息をついた。
「真面目なのは結構だけど、今俺も恥ずかしいんだ。わかる? これ以上一緒に恥をかきたくなければ、一刻も早くマシな格好になってもらわないと。これは俺のためでもある。だから気兼ねするな」
……ショック! 結局、こんな格好の女と並んで歩きたくないってことよね。勝手に拉致しておいて、失礼な。いいわよ、そんなこと言うなら、高い服おごってもらうわよ。
「わかりました。では、うちの会社のブランドにします」
私はこの通りの並びで一番敷居が低そうな、会社がデザインや縫製に関わっているOL向けブランドを選んだ。それでも、普段の私じゃ絶対一人で入れないほどのお値段だ。