クールな外科医のイジワルな溺愛


「いいじゃないか。せっかく綺麗な足を隠さない方がいい」

「綺麗なって……」

怪我をしているのに? 上手に縫ってくれたとはいえ、まだ膝には傷跡が茶色い線になって残っている。これからどれくらい目立たなくなるか、わからないのに。

そんな私の気持ちを察知したのか、黒崎先生は不敵に微笑む。

「大丈夫。絶対に目立たなくなる。主治医だった俺が保証する」

「本当なんでしょうね」

「ああ。だから自信を持って歩け」

そう言い、まるで王子様みたいに腕を差し出す黒崎先生。その笑顔が眩しすぎて、目を閉じそうになった。片手で松葉杖を持ち、もう片方の手をおずおずと差し出すと、先生はためらいなくそれを握った。

洋服の会計を済ませた先生が次に私を連れてきたのは、付近で一番大きなビルの一階にあった美容院だった。予約もしてなかったのに奇跡的に時間が空いているとのことで、ささっとメイクをして髪をアイロンで巻いてくれる。

「自然な感じで良いですから」

そう先生が言った通り、あまり派手に見えないナチュラルメイクに仕上がった。けれどさすがプロ。ナチュラルだけど、普段よりよっぽど顔が明るく見えた。


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