クールな外科医のイジワルな溺愛
「びっくりした。大丈夫か」
まるで抱きしめられるように、後ろからぎゅっと両手を回して支えられる。瞑りかけた目でまばたきをした。いったい何が起きたの?
「おい、しっかりしろよ。だから強がるなって言ったのに。仕方ないな」
また体がふわりと浮いた。けれど今度は落下しそうにない。私の身体は力強い両腕に支えられ……。
「きゃああっ」
「こら、暴れるな」
至近距離で私をにらんだのは、間違いなく黒崎先生で。彼は私をお姫様抱っこして、階段を上っていた。まるで、童話に出てくる王子様みたいに。
叱られておとなしくしていると、先生は軽い足取りですぐに私の部屋の前にたどり着いた。
「鍵は?」
「あ、リュックのなか……」
「ここで待ってろ」
そっと私を入口の前に座らせると、先生はたんたんと軽い音を立てて階段の下の方に置きっぱなしにしてあった荷物を取りに行き、すぐに帰ってきた。
黒崎先生、意外に力があるんだ。そんなこと思っているうちに、先生は目の前まで来て私と視線が合う高さにしゃがむ。
「貴重品だけ持ってこい」
そう言い、私をゆっくりと立たせる先生。
「え?」
貴重品って……。
「通帳とか、印鑑とか」
「どうして?」
「こんなところに置いておけない。これから俺の部屋に行こう」