クールな外科医のイジワルな溺愛
松葉杖を下駄箱の脇に立てかけ、腰を下ろして靴を脱ぐ。その間に先生は一手に引き受けてくれていた私のスーツケースと旅行カバンを持って部屋の中へ。
「ま、待ってください」
先生を追いかけて左手にあったドアの中に入ると、思考が止まってしまった。
「ひろ……」
眼前に広がるのは、全面ガラス張りのリビングだった。四十畳くらいありそう。円柱のちょうどカーブのところらしく、ガラスの壁も丸くカーブしている。
その向こう側には、いかにも首都東京を象徴するかのようなビル群が。
「うへえ」
こりゃあすごい。お城に住んでいるお殿様の眺めだわ。
部屋の中は大きな白いソファに黒いテーブル、壁際にこれまた大きなテレビと、両脇には高そうなステレオが。少し離れたところにはモダンな白いダイニングテーブル。
ドラマみたい。セレブって、本当にこんなところに住んでるんだ……。ぽかーんと口を開けていると、ドアの脇に立っていた先生の声が聞こえた。
「ここは共用スペースとする。好きに使っていい。右の奥にキッチンがある。そこもどうぞ。はい次」
先生は私の頭をぽんぽんと叩き、リビングの外へ。廊下を奥に歩いていくと、トイレ、化粧室、洗濯機置き場、浴室が次々に出てきた。途中もう一部屋あったけどそこは無視して、一番奥の部屋に招かれる。