愛され過ぎて…ちょっと引いてます
それから3日後、恵は初めての残業をしていた。

簡単な資料整理なのに量が多かった為、終業時間までに終わらせることができなかったのだ。

やっと作業も完成し香月チーフに確認してもらい本日の業務を終わらせることができたので、帰り支度をしていると一人の男性が秘書室に入って来た。

するとチーフが立ち上がり「室長お帰りなさいませ」と声をかけた。

それに合わせて私も立ち上がり「おかえりなさいませ」とお辞儀をしながら挨拶をした。

「ただいま」

にこやかに笑顔を見せて自席へと向かうその姿をついボーッと見てしまう。

何ともイケメンさんだ。スリムなスーツで歩く姿に風が吹く。

ああ...この人が室長なんだ。

副社長専属秘書である室長とは今日が初対面。

副社長が海外視察の出張期間中に私が入社した為、副社長と室長にはお会いすることができていなかった。

噂だけ聞いていた人にやっと会えたということだ。

社食でよく聞いていたのは、『副社長派と秘書室室長派のため息混じりの恋バナ』である。

それぞれがいかに素敵か、そして格好いいか。

それはもうキャアキャアと、楽しそうに華やいでいた。

なるほど...目の前に見る室長は清潔感溢れていて、『モデルさんみたい~』と噂の室長派に、私の中でとりあえず軍配があがる。

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