逃がさないよ?
Q.毎日側にいるのが当たり前なんですか?A.そうです。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン……
なんていう間延びした、 授業の終わりを知らせるチャイムがなった直後、 私は1番後ろの窓際の席からそっと立ち上がった。
そして隣のやつ___私が今現在逃げようとしている悪魔のような男に、 視線を向ける。
透けるような短い金髪に、 女の私ですら羨ましいと思うほど長いまつ毛。 そのまつ毛が一度開けば、 伺えるのはサファイヤのような美しい輝きをたたえた青。
金髪碧眼のその男は、 通った鼻筋にスッとした輪郭といい悔しいことに金髪碧眼じゃなくても恐ろしいほどにイケメンであろう容姿だった。
思わずじっと見入ってしまって、 慌てて思考を現実に引き戻す。 しまった、 いつもこうやって見入ってる間にこの男が起きて、 なんやかんやで屋上に引きずられていかれるのだった。
今日こそは、 そんなことはさせない。 私はスピーディーに朝買っておいたメロンパンを人気のないところで食さねばならないのだ。
決心を新たにし、 そおっと私は自分の席から離れ、 その男に背を向けた。 そして一歩踏み出_____
_______そうとした瞬間、 右手をぐいっと引かれる。