真実は目の前に
第八話▽告白と呼び出し
「じゃぁな、俺達は帰る」

どうやら、礼君は
ああなることを予想していたらしく
心配でついて来ただけらしい。

一切、手出ししなかったけど。

『来てくれてありがとうね』

あの時、下っ端達がいたら危なかった。

『茉緒さんが無事で
本当によかったです』

馬鹿三人だけだったからね。

『あんな侑君、初めて見た』

何時も、喧嘩しながらも
考えて戦っている。

『そう言えば
何もされていませんか?』

あんなこと言ったから
心配してくれたのかな?

『大丈夫だよ、言われただけだから』

その後直ぐにぶっ倒したしね。

『よかったです』

ギュッと抱きしめられた。

初めて倉庫に来たあの日のように。

『侑君、あのね
この状況で言うのは
少々、卑怯な気がするけど
言わせてほしい』

もう、自分の気持ちを隠せない。

『侑君のことが好き』

二人きりの倉庫。

邪魔する人はいない。

『……先に言われてしまいましたね(苦笑)

私も茉緒さんが好きです』

両思いだ……(嬉泣)

『お付き合いしてくださいますか?』

答えなんて一つしかない。

『うん‼

宜しくね♡♡』

『こちらこそ、宜しくお願いします』

あたし達は恋人同士になった。

★━━━━━━━━━━━━━━★

付き合いだして二週間経った
ある日の昼休み、
面倒なことが起こった。

大分前からあたしを
気に入らなかった人達に呼びたされた。

『あたしに何の用ですか?』

雪花に捕まった時も
同じ質問したなぁ~

「雨竜の姫やめろよ‼」

率直でわかりやすいな。

『何で、あたしが姫
辞めなきゃいけないんですか』

皆があたしを構うから
面白くないんだろうな。

理由を言えず、言葉に詰まっている。

『茉緒さん‼』

ありゃ、侑君が来ちゃった(苦笑)

「あ、天城君……」

先輩(笑)達は予想外な
侑君の登場にあたふたしている。

『心配して来てくれたの?』

わかってて、敢えて訊いてみる。

『当たり前なこと訊かないで下さい』

あたしが確信犯なのは
気付いているだろう。

『心配しなくても、
あたしが強いの知ってるじゃん』

侑君や礼君にはまだまだ
勝てないけどさ(苦笑)

『茉緒さんが強いのは知ってますが
“彼氏”としては
やはり、心配になってしまいます』

『何か言われましたか?』

侑君の質問に小さくビクッと
肩を震わせた先輩(笑)達。

『姫、やめろってさ』

あえておどけた風に言ってみる。

『そうですか(ニヤリ)』

声のトーンが心なしか低い。

『まぁ、あたしは姫を
辞める気なんてさらさらないし
そもそも、“姫”ってのは
単なる肩書きであって
“仲間”から離れるなんてありえない』

あたしを呼び出した
三人組は悔しそうに
俯いて唇を噛んでいる。

『わかったら、さっさと行きな』

年上とか関係ない。

少し強めに言ったら
何も言わずあたし達から
離れて行った。

これが“一回目”の呼び出し。

★━━━━━━━━━━━━━━★

昼休みが終わり、
教室に戻ろうとしたら
出くわした担任に呼び止められた。

「泉・琢海
何で雪花を抜けた?」

あぁ、知らないのか。

「抜けたのではなく
“追い出された”んですよ」

担任は終始あたしを睨んでいる。

「それから、茉緒里さんを
睨むのやめていただけますか(怒)」

『泉、あたしは気にしてない』

昔のあたしなら
ビビっってたかも知れないけど
今は恐くない。

「天城と元姫は
理事長室に行け」

目的はそれか。

『仕方ありませんね(苦笑)』

用件はわかっている。

『あたし達は理事長室に行って来る』

礼君達とは逆方向に歩き
理事長室に向かった。

これが二度目の呼び出し。

**理事長室**

『あたし達に何の用ですか?』

二週間の間に
この台詞を言ったのは三回目……

一日に二回目(苦笑)

「呼び出して悪いな」

おや? この人は睨んでこない?

確か、担任が副総長だった時の
総長だったよな?

『いえ、教室に戻ろうと
していただけですから』

考え事をしていたあたしの代わりに
侑君が応えてくれた。

用件はアイツらをボコったことじゃないのか?

「華表は無実なんじゃないか?」

理事長はこちら側?

普通は雪花を信じると思うけど……

自分が総長をしていた族だし
担任はおもいっきりあちら側だしな。

『何で理事長は
あたしがやってないと思うんですか?』

単に疑問に思ったことを口にした。

「雪花の現姫はぶりっ子だろう?

俺はあぁいうタイプの女が
昔から大嫌いなんだよ」

心なしか声に怒気が含まれている。

成る程、理事長も
あの手のタイプが大嫌いなのか。

「だから、噂が広まり始めたら頃
こっそり教室を覗きに行ったことがある。

一発でわかたさ、
現姫に華表が嵌められたってな」

きちんと、周りを見てくれていたんだな。

「それと同時に泉と琢海以外の
三人と克也には怒りを覚えた(怒)

何で気付かねぇんだってな」

ぁはは……

担任はともかく、
その三人は
あたしと侑君でボコった(苦笑)

『その三人なんですが
二週間前に私と茉緒さんでボコりました』

侑君が先に言ったな。

「経緯を訊いていいか?」

『茉緒さんを拉致った挙げ句
彼女を犯したいとか
ぬかしたのでやったまでです』

微妙に口調が崩れている。

『と言っても、
私は“総長さん”しかやってませんけど』

本当は三人ともあたしが
やるつもりだったんだけどな。

「幸歩と連陏は華表がやったのか?」

頷くと理事長は
吃驚した表情(かお)をした。

『雨竜に入ってから
皆に喧嘩を教えてもらったので』

力としては爽と同じくらいになった。

あたしの答えに理事長は
悲しそうな表情(かお)をした。

理事長室を出て、空き教室に向かった。
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