真実は目の前に
第九話▽転校生は侑君の幼なじみ
理事長室に呼ばれたあの日から三日。
転校生が来るらしい。
「お前ら、喜べ
今日は女子の
転校生が来る。
入ってこい」
担任が呼び
入ってきた女の子は
可愛らしい顔をしていた。
「瑞原由々波です」
昼休み、侑君が教室に来ると
転校生の瑞原さんが“久しぶり”と言った。
知り合い?
『幼なじみです』
あたしの心を読んだような返事。
『そうなんだ……』
★━━━━━━━━━━━━━━★
放課後、案の定、彼女は
侑君と帰りたがった。
しかし、皆で倉庫に行くため断った。
「何で、
その子はいいのに私は駄目なの?」
一瞬でわかたった。
彼女は闇と同じで
あたしが気に入らないんだろう。
『茉緒さんは私の恋人であり
雨竜の姫で仲間ですから。
それに、彼女は喧嘩も強いですし』
侑君に説明されても
納得していない様子だ。
そして、琢海の機嫌が悪い。
「雨竜って何?」
普通の女の子は“暴走族”なんて
知らないだろう。
『“暴走族”ですよ』
侑君の言葉に彼女は固まった。
『わかたっら、
私達と一緒にいない方が安全です』
姫でなくても、一緒にいれば
狙われやすくなるのは
火を見るより明らかだ。
「何で!?」
『由々波が他の族に
狙われやすくなるからです。
ましてや、副総長の幼なじみなんて
知られたら格好のターゲットですから
私達に近付かないでください』
「嫌、嫌よ‼
何でその子が恋人なの!?
私の方がかわいいじゃない。
もし狙われたら
侑司が守ってよ‼」
まぁ、あたしが可愛くないのは
本当だけど、彼女は
この世界を知らなさすぎる。
『由々波がかわいいのは
わかってますが
私は茉緒さん以外愛せませし
四六時中、
一緒に居られませんから無理です。
そういうことですから
私への気持ちは諦めて
できるなら普通の学校に
転校されることをおすすめします』
普段優しい侑君が珍しく刺々しい。
「侑司さん、何かイライラしてますか?」
泉の問いかけにストレートに言った。
『由々波がこの学校に
来たこと自体が迷惑なんですよ』
なせん、この学校は所謂“不良校”
如何にもお嬢様といった
彼女には似合わない。
「何で……
東京(こっち)に戻ってきて
お父様に侑司の学校を
調べてもらって
やっと会えたのに」
侑君はもう一度ため息を吐くと
瑞原さんにキレた時の口調で言った。
『はっきり言って邪魔なんだよ‼
弱いから守ってもらおうなんて
考えからして甘いんだ』
確かに、闇も喧嘩はできない。
だけど、それなりの覚悟を持って
雪花と雷鳥の姫をしているんだろう。
あたしも雪花にいる頃は皆に
“守ってもらって当たり前”だと思ってた。
『そして
茉緒さんを侮辱しないでください』
最後はあたしのことなんだな(苦笑)
そこは別に気にしちゃいなかったが。
泣きそうな顔をしている
瑞原さんを侑君は睨んだままだ。
『侑君、その辺にしとけば?』
顔立ちが整っているせいか
侑君に睨まれたら女の子はビビる。
幼なじみな分、
免疫はあるんだろうけど
それでも瑞原さんは
小さく震えている。
『茉緒さんがそうおっしゃるのであれば』
それに早く倉庫に行きたい。
『一応忠告しておきますが
茉緒さんに
嫌がらせ等しないでくださいね」
瑞原さんは侑君から目を離して
泣きそうになりながら
あたしを睨んできた。
別に何も思わない。
『倉庫に行きましょう』
無理やり感を残して
瑞原さんから離れ、
駐輪場に向かった。
★━━━━━━━━━━━━━━★
倉庫に着くと
先に来ていた陸十や颯天
下っ端君達が挨拶してくれた。
『皆さん、すみませんが
私達は部屋に行きますので』
皆に挨拶もそこそこに
二階ある侑君の部屋に連れて行かれた。
**侑君の部屋**
『侑君?』
名前を呼ぶといきなりキスされた。
『んんっ……侑……君?』
合間に名前を呼んでみる。
『すみません、茉緒さんを感じたくて』
『謝ることはないと思う。
あたしももっと侑君を感じたい』
わざと煽るような台詞を言う。
今の侑君は不安定だと思った。
瑞原さんが何時
引っ越したのかは知らないけど
何の連絡もなく突然現れれば
酷く動揺するだろう。
『それは“了承”
ということでいいんですね?』
あたしは笑って頷いた。
事後、侑君はまた謝った。
しかし、さっきよりは
気持ちが落ち着いているように感じる。
『落ち着いた?』
あたしの台詞に吃驚している。
多分、礼君以外は
気付いてなかったと思う。
『私が内心、
動揺していたことに
気付いていたんですか?』
恋人だからと自惚れる気はないけど
礼君以外で侑君の微妙な変化に
一番に気付く自信はある。
『うん』
一言だけ、肯定の言葉を言った。
『茉緒さんには隠し事を
したくないので話ますが、
由々波とは親同士が決めた
婚約者同士なんです』
そっか……
でも、侑君と瑞原さんの
両親には悪いけど
あたしは別れる気はない。
『ですが、私は茉緒さんを
愛しているので
婚約は解消して
もらわなくてはなりません』
よかった、侑君も同じ気持ちで。
『あたしは一生侑君のものだから
侑君もあたしのものでいて?』
『勿論です』
この後、部屋から出て
下に降り、皆で他愛もない
話をして解散となった。
転校生が来るらしい。
「お前ら、喜べ
今日は女子の
転校生が来る。
入ってこい」
担任が呼び
入ってきた女の子は
可愛らしい顔をしていた。
「瑞原由々波です」
昼休み、侑君が教室に来ると
転校生の瑞原さんが“久しぶり”と言った。
知り合い?
『幼なじみです』
あたしの心を読んだような返事。
『そうなんだ……』
★━━━━━━━━━━━━━━★
放課後、案の定、彼女は
侑君と帰りたがった。
しかし、皆で倉庫に行くため断った。
「何で、
その子はいいのに私は駄目なの?」
一瞬でわかたった。
彼女は闇と同じで
あたしが気に入らないんだろう。
『茉緒さんは私の恋人であり
雨竜の姫で仲間ですから。
それに、彼女は喧嘩も強いですし』
侑君に説明されても
納得していない様子だ。
そして、琢海の機嫌が悪い。
「雨竜って何?」
普通の女の子は“暴走族”なんて
知らないだろう。
『“暴走族”ですよ』
侑君の言葉に彼女は固まった。
『わかたっら、
私達と一緒にいない方が安全です』
姫でなくても、一緒にいれば
狙われやすくなるのは
火を見るより明らかだ。
「何で!?」
『由々波が他の族に
狙われやすくなるからです。
ましてや、副総長の幼なじみなんて
知られたら格好のターゲットですから
私達に近付かないでください』
「嫌、嫌よ‼
何でその子が恋人なの!?
私の方がかわいいじゃない。
もし狙われたら
侑司が守ってよ‼」
まぁ、あたしが可愛くないのは
本当だけど、彼女は
この世界を知らなさすぎる。
『由々波がかわいいのは
わかってますが
私は茉緒さん以外愛せませし
四六時中、
一緒に居られませんから無理です。
そういうことですから
私への気持ちは諦めて
できるなら普通の学校に
転校されることをおすすめします』
普段優しい侑君が珍しく刺々しい。
「侑司さん、何かイライラしてますか?」
泉の問いかけにストレートに言った。
『由々波がこの学校に
来たこと自体が迷惑なんですよ』
なせん、この学校は所謂“不良校”
如何にもお嬢様といった
彼女には似合わない。
「何で……
東京(こっち)に戻ってきて
お父様に侑司の学校を
調べてもらって
やっと会えたのに」
侑君はもう一度ため息を吐くと
瑞原さんにキレた時の口調で言った。
『はっきり言って邪魔なんだよ‼
弱いから守ってもらおうなんて
考えからして甘いんだ』
確かに、闇も喧嘩はできない。
だけど、それなりの覚悟を持って
雪花と雷鳥の姫をしているんだろう。
あたしも雪花にいる頃は皆に
“守ってもらって当たり前”だと思ってた。
『そして
茉緒さんを侮辱しないでください』
最後はあたしのことなんだな(苦笑)
そこは別に気にしちゃいなかったが。
泣きそうな顔をしている
瑞原さんを侑君は睨んだままだ。
『侑君、その辺にしとけば?』
顔立ちが整っているせいか
侑君に睨まれたら女の子はビビる。
幼なじみな分、
免疫はあるんだろうけど
それでも瑞原さんは
小さく震えている。
『茉緒さんがそうおっしゃるのであれば』
それに早く倉庫に行きたい。
『一応忠告しておきますが
茉緒さんに
嫌がらせ等しないでくださいね」
瑞原さんは侑君から目を離して
泣きそうになりながら
あたしを睨んできた。
別に何も思わない。
『倉庫に行きましょう』
無理やり感を残して
瑞原さんから離れ、
駐輪場に向かった。
★━━━━━━━━━━━━━━★
倉庫に着くと
先に来ていた陸十や颯天
下っ端君達が挨拶してくれた。
『皆さん、すみませんが
私達は部屋に行きますので』
皆に挨拶もそこそこに
二階ある侑君の部屋に連れて行かれた。
**侑君の部屋**
『侑君?』
名前を呼ぶといきなりキスされた。
『んんっ……侑……君?』
合間に名前を呼んでみる。
『すみません、茉緒さんを感じたくて』
『謝ることはないと思う。
あたしももっと侑君を感じたい』
わざと煽るような台詞を言う。
今の侑君は不安定だと思った。
瑞原さんが何時
引っ越したのかは知らないけど
何の連絡もなく突然現れれば
酷く動揺するだろう。
『それは“了承”
ということでいいんですね?』
あたしは笑って頷いた。
事後、侑君はまた謝った。
しかし、さっきよりは
気持ちが落ち着いているように感じる。
『落ち着いた?』
あたしの台詞に吃驚している。
多分、礼君以外は
気付いてなかったと思う。
『私が内心、
動揺していたことに
気付いていたんですか?』
恋人だからと自惚れる気はないけど
礼君以外で侑君の微妙な変化に
一番に気付く自信はある。
『うん』
一言だけ、肯定の言葉を言った。
『茉緒さんには隠し事を
したくないので話ますが、
由々波とは親同士が決めた
婚約者同士なんです』
そっか……
でも、侑君と瑞原さんの
両親には悪いけど
あたしは別れる気はない。
『ですが、私は茉緒さんを
愛しているので
婚約は解消して
もらわなくてはなりません』
よかった、侑君も同じ気持ちで。
『あたしは一生侑君のものだから
侑君もあたしのものでいて?』
『勿論です』
この後、部屋から出て
下に降り、皆で他愛もない
話をして解散となった。