腕の中の神様
恋しくて泣く。
「ずっと昔からいた。君が生まれる時からいた。君が覚えてないだけで、昔はずっと会ってた。」
君は俺の手をとって、自らの胸にあてる。
そしたら手から君の感情が俺の心まで届いた気がした。
(大人になったら私は見えなくなるの。
だから、子供の時は見えたのに、無理に大人になろうとすると見えなくなる。
大人にならないでってわけじゃなくて、無理はしないでほしいの。
有りの侭の君でいて。
本当の君は… )
また、君の手を引き抱き締める。
君は俺の服を掴んで胸に顔を埋めて、静かに泣いた。
「君が泣かないでよ。」
服を段々涙が染める。
いつもと違う鼓動の動きに焦った。
「俺は、また、大人になろうと無理をすると思う。」
そう言えば、悲しい顔で俺の顔を見る。
「でも、それに疲れたりして泣くと思う。」
「…うん。」
「いや、やっぱ、……君に会いたくて、恋しくて泣く。」
さっきより強く抱き締めて、君の首元に顔を埋める。
「そしたらさ、会いにきて。また、俺を抱きしめてよ。」
子供になるから、君に甘えさせてよ。
君は何も言わず、俺の背中に手を回して強く抱き返した。