雨と、君と。
はじまり
「ストライク!バッターアウト!」

ああ、終わった。
私の、初めての、夏が。
夏と言っても、その舞台は甲子園ではない。甲子園も目指すことの出来ない、中学野球。大好きな先輩たちの目からは、大粒の涙があふれる。私たちのこれからの未来を表現するかのように...。



大好きな野球。それはきっと私を輝かせてくれるはず。そう思っていたんだ。あの時と、何も変わらない景色が、わたしの脳裏に焼き付いた、幸せで、泣きたいぐらい悲しい、あの頃を、より鮮明に思い出させる。


ふと、空を見上げると、黒くて怖い雲が私の頭上を覆って...。ポツポツと雨の雫が私の体を濡らして...。そしたら急に雨が強くなって、その大粒の雨が黒い空から溢れるようにしてこぼれてきた。私がいま流している、この、涙のように......
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