お見合い相手は、アノ声を知る人
「…あの、何処かで会いましたか?」


確かに何処かで会ったんだよね。
しかも、一度や二度じゃない筈。


(…何処でだったろ。……仕事先の営業マンにこんな格好いい人いたっけ?)


首を捻るとクスッと笑われた。
バカにしたような顔つきで、見下されながら教えられた。


「……散々会ってただろ。自宅のマンションで」


「えっ!?」


ガタッと椅子を鳴らしてお尻を浮かす。
テーブルの上に肘を付き、まじまじとその顔を窺った。


私の視線から逃れるように彼が目を逸らせ、その横顔を見た時、ピン!と勘が走った。


「あ……もしかして、お隣に住んでた人……?」


サーッと血の気が引くような気がして、ストン…と椅子の上にお尻が落っこちる。


お見合いの相手は私の過去を知ってる人だ。
しかも、絶対に誰にも知られたくない過去を見てる人ーーー



「うそ……どうして……」


呆然としたまま彼を見据えた。
小早川さんはフ…と不敵な笑みを浮かべて、「それ、こっちの台詞」と笑った。


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