お見合い相手は、アノ声を知る人
秘密
「入れよ」


個室に通され、壁際に置かれたソファに座る。
此処は彼が行き付けのバーのVIP室で、天井からはミラーボールがぶら下がって煌めいてる。

私との間を少し空けて隣に彼が座った頃、コンコンとノックの音が響いた。


「やあ、いらっしゃい」


顔を覗かせたのは店長をしてる梶野さんで、私のことを確かめると、この間は悪かったね…と謝ってきた。


「カクテルを飲む前に度数が高いよと教えておけば良かった」


申し訳なさそうにテーブルの上にオシボリや氷なんかを置いていく。
それを聞いて申し訳ないのはこっちだと思い、ご迷惑をおかけました…と謝った。


「かなり久し振りにお酒を飲んだものだから、思ってた以上に酔いが速く回って」


すみません…と頭を下げると、自分は全然だけどカッちゃんがね…と隣を見て笑う。

彼が苦虫を噛み潰したような表情に変わるのを見つめ、何があったんだろうと首を傾げた。


「君がテーブルにうつ伏せた後、お前酒に何入れたんだ!って大騒ぎでさ。凄い剣幕で怒って、慌てて部屋を確保して連れて上がったんだ」


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