お見合い相手は、アノ声を知る人
『祐ちゃんがなかなか帰って来ないからオフィスまで迎えに行ったのよ
。そしたら、このマンションに入って行くのが見えて、何処へ行くんだろうと思って追いかけて来たの。…この部屋は誰の部屋?同僚の中津さん?」
中津さんというのは彼の同期で、課は違うけど夫婦共々顔見知りだと聞かされたことがある。
小さな声で『いや…』と彼が囁くと、奥さんは『じゃあ誰の?』と聞き返した。
じわじわと追い詰めてるように受け取れた。
そして、決して逃さない…といった雰囲気だった。
私はそれを見てゾッとした。
キィ…とドアが揺れてしまい、部屋の奥にいる私に彼女が気付いたーーー。
「一瞬だけ私を見た時、彼女の顔色が変わったの。
でも、直ぐに表情を戻して、あの人は誰?と彼に聞いてた」
振り向いた彼はしどろもどろで、私のことを上手に誤魔化せなかった。
奥さんはそんな彼を見守るような目で見てて、私とは全然タイプの違う人だな…と思った。
不器用で言葉足らずな彼のことを誰よりも愛してたのは彼女。
今の私ならそれが分かるけど、この時は分からなくてーー
。そしたら、このマンションに入って行くのが見えて、何処へ行くんだろうと思って追いかけて来たの。…この部屋は誰の部屋?同僚の中津さん?」
中津さんというのは彼の同期で、課は違うけど夫婦共々顔見知りだと聞かされたことがある。
小さな声で『いや…』と彼が囁くと、奥さんは『じゃあ誰の?』と聞き返した。
じわじわと追い詰めてるように受け取れた。
そして、決して逃さない…といった雰囲気だった。
私はそれを見てゾッとした。
キィ…とドアが揺れてしまい、部屋の奥にいる私に彼女が気付いたーーー。
「一瞬だけ私を見た時、彼女の顔色が変わったの。
でも、直ぐに表情を戻して、あの人は誰?と彼に聞いてた」
振り向いた彼はしどろもどろで、私のことを上手に誤魔化せなかった。
奥さんはそんな彼を見守るような目で見てて、私とは全然タイプの違う人だな…と思った。
不器用で言葉足らずな彼のことを誰よりも愛してたのは彼女。
今の私ならそれが分かるけど、この時は分からなくてーー