お見合い相手は、アノ声を知る人
『ごめんなさい……もう二度と同じことはしないから……』


葬り去れた命に謝った。
何度も何度も、心の底から謝り続けた。

自分が子供過ぎて何も見えてなかったから起きた事に、恐怖と後悔と懺悔が重なった。

あの血の色はもう絶対に忘れない。
あれを流させたのは自分だ、と信じたーーーー。


「泣くなら俺の見えないように泣いてくれないか。
背中で良かったら貸してやってもいいぞ」


こっちを見てた人が向きを変えて背中を見せた。
白いワイシャツだけが視界に入り、あの人の記憶と重なった。


背中を見送りながら、何度も止めたいと思った。
行かないで、帰らないで…と願いたかった。


私を独りにしないで。
もっともっと、一緒に居たい…と言いたかった……。



「……なんで…そんなことを思ったの…」


ドン!…と拳を打つと、小さな声で「イテ」と聞こえた。

だけど、それを聞くと余計に頭にきて、ドン!ドン!と拳を打ち付けた。



「バカ!私の大バカ!あの人は私のものにはならないんだと思ってたのに…!

最初からダメだと分かってたじゃないの!

好きになったらいけないって!求めてはいけないって!」



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