お見合い相手は、アノ声を知る人
自分の職場で働かせるようにして、挙げ句は背中まで貸して泣かせてくれるなんてーーー。



(もしかして、とんでもないお人好しとか?)


さもなくば同情心からか?
気の毒だとでも思われた?


(可哀想とか思われてるのならヤダな…)


あれは自分の犯した大罪の結果なんだ。
誰の所為にもできないし、一生自分が背負ってくつもりでいる。


だから、こんなに優しくされると困る。
弱ってる時は叱咤される方が有難いのにーーー。


ぼうっとしたまま考え込んでた。

泣き過ぎで瞼が腫れぼったくて開きにくいのと、眼球がやたらと痛いからパチパチと瞬きを繰り返した。



(動けばこの人起きるんだろうな)


そう思うと動けなくて、このままでじっとしておくのもな…と思いつつ、もぞっと足を動かした。


(ん?)


膝小僧に彼の素足がぶつかった感触があって、どうして?と思いつつ自分の格好を見直した。



「えっ!?」


思わず声が飛び出して口を手で覆う。
だけど、その声で彼の眉間にシワが寄った。



「んー……」

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