お見合い相手は、アノ声を知る人
「…大丈夫か?」


眠そうに欠伸を噛みながら聞いてくる相手に、な、何が?とオロオロしながら聞き返した。


「その様子じゃ落っこちたんだろ。肘以外にもどっか打ったか?」


ようやくベッドから体を起こした相手を見ると、上半身は裸で何故かパンツ以外は何も身に付けてない。


「ぎゃ〜〜!!」


慌てて目隠しをするようにそっぽを向いて、驚いた彼はビクッと肩を竦ませた。


「そんなに大袈裟に驚くなよ。男の体なんて見慣れてるだろ」


「あ、貴方のは見慣れてないです!!」


見慣れてると言っても一人だけ。
山根さん以外の裸なんて拝んだこともないのに。


「全く。純情ぶるのもいい加減にしろよ」


反対側からベッドを降り、スタスタ…と歩いて何処かに行く。
ホッとしたら壁際から現れて、ほらっとばかりにバスローブを投げてきた。


「顔ボロボロだぞ。さっさと風呂にでも入ってこい」


言い捨てると自分はトイレに行くと言って逃げてしまう。
さっきまでは優しい人だと思ってたけど、このつっけんどんな態度は優しくない。


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