お見合い相手は、アノ声を知る人
「あっ、服ならクリーニングが済んで戻ってきてるから。クローゼットに掛けてあるよ。
それから、メシが済んだら出掛けるぞ。支度しておけよ」


「えっ?あの…」


振り向くと既にドアを閉めた後で、どれだけせっかちなんだ…と呆れてしまう。

窓辺を見るとテーブルの上にはワッフルが置かれてあって、生クリームとハチミツとラズベリーソースとが添えてあった。


「こんな甘い物、朝から食べろなんてーー」


ブツブツ言いながらもテーブルに付いて一口齧った。
ワッフルの香ばしさと生クリームとの相性が抜群に良くて、気付けば全部食べきってた。



「…ああもう。誘惑に負けた…」


食べきった後で後悔しても遅いけど、この後で出掛けるのだけは断ろう。


「帰るにしても、メイクくらいは必要か」


オフィスでメイクが崩れた時用のパウダーとリップ程度しかないけどまあいい。
お風呂上がりに使ったクリームのお陰で肌はしっとりしてるし、何とかそれだけでもおかしくはないだろう。


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