お見合い相手は、アノ声を知る人
タルタルソースも美味しい!と声を漏らしたら、隣にいる彼がこう言った。


「やっと笑った」


そう言われてハッと隣を振り返った。
尖ってばかりいた気持ちが丸くなって、彼のことも真っ直ぐに見れてる。


「そうやって平和そうに笑ってろよ。それが一番の家族孝行になるから」


「小早川さん…」


まさか、この旅行は私の為に?


「俺は確かに小早川だけど、一路って名前があるんだけどな」


名前で呼ぶようにそれとなく言ってくる人に向けてた視線を外した。

とてもまだそんな心境にはならないと思いながら、少ししかめっ面でお弁当の続きを食べたーーー。


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