お見合い相手は、アノ声を知る人
昨夜あの背中を借りて泣いたからだろうか…と見遣って列車を降り、蒸し暑さが盛る駅舎の前に出た。
ミンミン、ジージーと鳴き叫ぶ蝉の声を耳にしつつ、これから先はどう行くの?と彼に訊ねるとーー
「レンタカーの手配をしてるから借りてくるよ」
待ってろ…と言って走り出す。
なんとまあ手際のいいこと。
流石は宿泊業務課で働いてるだけのことはある…と感心して、駅舎の壁に凭れて辺りの景色を楽しんだ。
来る途中、この市には世界遺産に登録された場所があると聞かされた。
その為か、確かに外国人旅行者が多い気がする。
片手に持ってるパンフレットを見せながら、通りすがる人達を呼び止めて道を聞いてる。
彼が来たら世話を焼きそうだな…と思い、クスッと少し笑えた。
そんな中、ベビーカーを押して歩く夫婦が視界に入ってきた。
ドキン…と胸が鳴り、歩き去る姿にシュン…と背中が丸くなる。
どんなに反省してもあの日失った命は戻ってこない。
再び彼の奥さんのお腹に新しい命が宿ることを願うしかないんだ…と思うと、頭では分かってても切なくなる。
ミンミン、ジージーと鳴き叫ぶ蝉の声を耳にしつつ、これから先はどう行くの?と彼に訊ねるとーー
「レンタカーの手配をしてるから借りてくるよ」
待ってろ…と言って走り出す。
なんとまあ手際のいいこと。
流石は宿泊業務課で働いてるだけのことはある…と感心して、駅舎の壁に凭れて辺りの景色を楽しんだ。
来る途中、この市には世界遺産に登録された場所があると聞かされた。
その為か、確かに外国人旅行者が多い気がする。
片手に持ってるパンフレットを見せながら、通りすがる人達を呼び止めて道を聞いてる。
彼が来たら世話を焼きそうだな…と思い、クスッと少し笑えた。
そんな中、ベビーカーを押して歩く夫婦が視界に入ってきた。
ドキン…と胸が鳴り、歩き去る姿にシュン…と背中が丸くなる。
どんなに反省してもあの日失った命は戻ってこない。
再び彼の奥さんのお腹に新しい命が宿ることを願うしかないんだ…と思うと、頭では分かってても切なくなる。