お見合い相手は、アノ声を知る人
祟られそう…と呟くと吹き出され、誰に?と言うから言葉に詰まった。


「自分達の子孫がお参りに来たんだぞ。歓迎されても祟ったりしないだろ?」


「で、でも…」


自分は他人の代を潰した人間。そんな私が参っても先祖も喜ぶとは思えない。


「明里にどうしても見せたいものがあるんだ。だから、頑張って来い」


ぐいっと引っ張る力に負けて木戸を抜けた。
中は蝉の声も遠くに聞こえる程の静寂さに包まれて、その中には目を見張る様な光景が広がってた。


石畳の続く参道は、入り口から三つに分かれてある。

参道の両脇には高さが二メートルくらいありそうな石灯籠が整然と立ち並び、まるで藩主を守る家臣のように佇んでる。

その灯篭の先には三代、五代、七代…と、十一代までの藩主と奥方様の墓石がそびえ立ち、墓所の両端には、尽力した親戚や縁者の墓が並んでるのが見えた。


私は手に冷や汗をかいてた。
静寂さと威圧感の中に異様なまでの緊張を抱いてたせいだと思う。



「此処だな」


左側の墓石が並ぶ中央に着くと、彼が見てみろと指差した。

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