お見合い相手は、アノ声を知る人
視線の先に立ってる人は、フフン…という不敵過ぎる笑みを浮かべてる。



「ま……」


まさか、なかなか聞けない声って、もしかしてアノ時の声じゃ……


「…き、聞いてたんですか!?」


まさか…と思いながら確認した。

趣味が悪い!
いや、その前にあり得ない!!


「誰がわざわざ聞くか。あんたの声が大きかっただけだろ」


「そんな大きな声なんて出してませんよ、私!」


そう言いながらも自信はあまりない。
頂点に達する時、何度か声を上げたかもしれない。


ぼぼぼ…と火が着くように顔の温度が上がっていく。
それを見てた彼が面白そうに笑った。


「とにかく折角再会したんだから展覧会でも観に行こうぜ。その後で軽く食事でもしないか?」


「冗談じゃありません!誰が貴方みたいな人と…!」


帰ります…と踵を返して立ち止まる。


そうだ。お金がないんだ。
それでお祖父ちゃんに連絡をしようとしてたところを止められたんだ。



「……あの!」


くるりと向きを変えたら、おっ…という様な口元をされた。

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