お見合い相手は、アノ声を知る人
…俺は明里と違い、この話を読んで納得した。
俺達の出会いは偶然でもなく奇跡でもなく、運命なんだと思った」


「…運命?」


「ああ。出会うのが運命だったと思う。この話を読んでそうだと確信した」


「そんな…ことは…」


信じられない。
そんな都合のいいように解釈するなんてーー


「だったら、どうしてあの日美術館で出会った?
俺には兄弟が三人もいて、そのうちの誰かが明里と見合いをしても良かった筈なんだぞ?

流石に一番上の兄貴はないとしても、二番目の兄貴でも弟でも良かったんだ。

たまたま白羽の矢が立ったのが俺だったけど、その前に出会ってなければきっと、ここまで運命も感じてないよ」


違うか…と聞く彼にぐうの音も出せなかった。
だけど、そうね…とも言えずに涙した。


「明里が後悔してるのは嫌というほど俺も知ってる。

時に激しく恐怖に襲われて、自分のしてきたことを呪いたくもなると思うよ。

それについては俺も上手に慰めきらないかもしれないし、たまにはまたか…と思うこともあるだろうけど。…でも、何度も言うけど、明里が落ち着くまで側に居てやるから」


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