お見合い相手は、アノ声を知る人
愛して愛されてると勘違いした。
いつかは一緒になれる日が来るんだと信じきってた。


…でも、決して、してはいけない大罪だと知った。


あの時と同じことは、もう絶対に繰り返さないんだ。

自分の為にもならないし、相手も不幸になるだけ。

そんな後悔に苛まされる日々を、ずっと送りたくはないからーー。


「……私、奥さんのことは今もまだ反省してます。
決してその事で自分を赦してないし、これから先もずっとその責任を背負いながら生きてく覚悟でいます。

だから、山根さんも同じように背負って生きて下さい!

二度と同じことを繰り返さず、奥さんだけを大切にして。
私が偉そうに言える立場じゃないけど、それが一番の薬になると思うんです。

お二人の幸せをずっと願ってます。赤ちゃんがまた授かるように毎日祈り続けていくから!」


そうよ。過去の先祖みたいに、命のバトンが引き継がれる日が来ることを願ってる。


「聞いただろ。今後、彼女には近付くなよ」


言い足りないような口調で言い渡すと、小早川さんは行こう…と肩を抱き寄せた。

その力強い掌の温もりに胸を熱くさせながら踵を返した。

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