お見合い相手は、アノ声を知る人
昨日、彼と結婚は先に伸ばすかどうするかと話し合った。
付き合っていこうとは決めたけど、焦らなくてもいいかと言い合ったんだ。



「マルコも居るしね」


そう言いながら足元に擦り寄る猫を抱く。
それに彼はどうせ婿養子に入るつもりでいようだしーー


「…と、それは本気で思ってるのかな」


今日は仕事から帰ってくるのを部署で待ち、その真意を確かめてみよう。
そう思いつつ、部屋のドアを閉めた。


オフィスへ行くと、また会長に呼び出されるのかな。
今度こそ相性は良かったですか?と聞かれるのかと思うと照れくさい。


もしも、オフィスの人達が私と小早川さんがお見合いをして、付き合ってるんだと知ったらどんな反応を見せるだろう。
後ろめたい関係じゃないから堂々としててもいいんだけど、それはそれで緊張しそう。


でも…と心の奥から自信みたいなものも湧いてくる。

やっと自分らしい恋を見つけたんだと思うと、階段を降りる足取りも軽くなった。



自分がしてきたことの大胆さを忘れてはいない。
あの出来事があったからこそ、自分を戒めることが出来たと思う。

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