お見合い相手は、アノ声を知る人
「用事って何よ」


先に聞いておこうと相手を見遣った。
祖父の隣に立ってる人は、「いいからさっさと着替えて来い」と命令口調。


(何だその偉そうな態度は)


思いきり不快感を露わにしながら洗面所を出て部屋に戻った。

頭にくるから思いきりブスメイクにしてやろうかと思ったけど、外で誰に会うか分からないから普通にナチュラルメイクにしておいた。



「着るのは通勤用のワンピースでいいか」


ストライプのシャツワンピを選んで、髪は後ろで纏めてハーフアップにした。
本当ならアレンジも加えたいところだけど、今日は急ぐからパレッタで留めるだけ。


「だけど、どうして私があの人の言うなりにならないといけないのよ」


納得いかないとブツブツ文句を言いながらバッグを手にする。
お財布にお金があることを確かめて、ドアを閉めて下へ降りた。



「出来たか、行くぞ」


靴を履いて框に座ってた人は立ち上がり、一緒に話し込んでた祖父にお邪魔しました…と挨拶してる。


(この人って重役か何か?もしかして、これから出勤するんなら既にそういう時間帯だけどいいの?)


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