お見合い相手は、アノ声を知る人
どうして、私を……
25階にある会長室で、私は小さくなってソファに座ってた。



「どうぞ」


冷たい緑茶を出され、はあ…と相槌を打ったものの、直ぐに手を出すことも出来ずに眺めるだけ。

急げ急げ…と言いながら此処へ連れて来た人は、私をドアの中に押し込むと、自分は社用があると言って去ってしまった……。



(ちょっとー!用事があったんじゃないのー!?)


戻ってこーい!とも言えないでいたら、奥へ続くドアが開いて彼のお祖父さんが現れた。



「…おお、ようこそおいで下さった」


どうやら私に用事があったのはこの人のようだ。

部屋のほぼ中央にあるテーブルセットへどうぞと招かれ、渋々ながら足を運んだところだーーーーー。



「朝から呼び付けて申し訳ない。順平さんにも言ったんだが、明里さんが仕事をする気があるのならこのオフィスで働いてみてはどうかと思ってな」


善は急げと言いましょうがと聞かれ、これって善なんだろうか…と考える。


「…でも、あの…私はこんな立派なオフィスで働くような資格も免許も持ってませんが……」


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