お見合い相手は、アノ声を知る人
祖父と同じくらいか少し年上な感じのお祖父ちゃんが私のことを見て聞く。

咄嗟に言ってた知人だと分かり、立ち上がって両手を体の前で重ねて一礼した。


「そうです。孫の明里(あかり)と言います」


祖父は立ち位置を変え、私の横に並んだ。
向かい合わせるように四人で顔を合わせた後、まあ座りませんか…と二人に椅子を勧めた。


カタカタ…と椅子を引いて座り直し、その誰かに似てる様な人と私が向かい合わせる。


じーっと顔を見てる訳にもいかないから、一応目線はテーブルの上に這わせた。


その後、やっとオーダーが聞けると踏んだウエイトレスがやって来て、三人はホットコーヒーを注文し、私はアイスティーのお替わりを願った。



「……本日はようこそおいで下さいました」


ウエイトレスが立ち去ると、祖父が口火を切った。
私の前に座ってる人達は、目を伏せながら少しだけ首を項垂れて口角を上げた。


「明里、こちらは小早川さんと仰って、我が家が先祖代々お世話になってる方なんだ。
こちらが当主の一臣(かずおみ)様で、隣がお孫さんの一路(かずみち)君。
……明里とは確か、年が二つくらい離れてたかな」


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