お見合い相手は、アノ声を知る人
そう思い立ち、そのつもりで切るのを待ち構えた。
だけど、待ってる間に孫の小早川さんが入ってきて、仕事の説明をするから一緒に来いと言い出した。



「ちょっと、私はまだ働くとは言ってもないんだけど!?」


腕を持たれ、引っ張り上げようとするから抵抗を試みる。だけど、まだそんなことを言ってるのか…と、逆に呆れ顔をされた。


「ジジイが先祖の恩返しをすると言ってただろう。そしたら絶対に断らせて貰えないから覚悟して働けって。

…ほら、来いよ。部署の連中にあんたを紹介すると言って来たんだから」


「な、何よ!強引過ぎもいいところじゃない!」


(お祖父ちゃんの嘘つき!この人達の何処が悪くないのよ!!)


絶対に悪すぎでしょー!と、声に出せない思いを抱えたまま会長室の外へと引き摺り出された。

そのまま上のフロアまで移動して、宿泊業務課のブース内へと連れて行かれた。




「……悪い。待たせた」


小早川さんの声を聞いて、デスクに着いてた人達が振り返る。
男女総勢十名程度のメンバーは全員、頭が良さそうに見えた。


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