お見合い相手は、アノ声を知る人
(こんな人達に囲まれて仕事なんてムリ!)


即座にそう思ったけど上座に立たされ、憎らしいほど爽やかそうな笑みを浮かべて紹介された。


「月野明里さんだ。明日からこの部署で働くから宜しく頼む」


こっちを振り向き、挨拶しろと言ってくる。


(…くっそー、末代まで祟ってやるんだからー!)


何だかもうどうでもいいくらいに長い物に巻かれてる。

悔しい気持ちを隠しながら、ガックリと首を項垂れるように頭を下げた。


「月野です。よろしくお願いします…」


(お祖父ちゃん、この恨み忘れないからねー!)


お見合いも仕事も断ろうとしてたところへ電話をかけてきた祖父を逆恨み。

どうして…という思いだけが胸に膨らんでいく中、バタバタと決まった再就職先で、私は何故だか働くことになってしまったーーー。


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